2010/10/8PM11キズナのチカラ『70代の現役ラガーマンたちが仲間につなぐ“絆のパス”』
　東京のあるグラウンドに、ラグビーへの情熱に燃え、激しく体をぶつけ合う40〜70代の男たちの姿がある。1948年に結成された世界初のシニア・ラグビーチーム、「不惑倶楽部（ふわくくらぶ）」のメンバーである。年代は、選手のパンツの色で分かるようになっていて、40代は白、50代は紺、60代は赤、そして、一際目立つ黄色が70代。かつては、90代の金色パンツの選手も在籍していた。この色分けは、不惑倶楽部から生まれたアイデアで、今では世界の多くのシニア・ラグビーチームでも採用されている。
　そんなチームの現在の最高齢者が、78歳の杉本要二さんと永山隆一さん。２人は不惑倶楽部に加入以来37年間、共にグラウンドを駆け抜けてきた仲間。しかし、それまでの２人のラグビー人生は対照的。杉本さんは、ラグビーの名門高校から立教大学へ進学、関東代表にも選ばれた実力派。一方の永山さんは、高校時代は内気な性格だったが、大学に入って始めたラグビーで、自分が変われたという。しかし、実力派と呼ぶにはほど遠い選手だった。現在も、永山さんは、試合でボールに触れる事がなかなかできないが、「仲間へパスをつなぎたい」との彼の想いを知る杉本さんは、叱咤激励しながらも、永山さんを37年間あたたかく見守ってきた。そんな永山さんは、現役の外科医。ラグビーは激しいスポーツだけにケガは日常茶飯事。いざという時は応急処置を施し、“場外”でみんなの信頼を得ている。
　そして彼らは今、秋から始まる本格的なラグビーシーズンに向けて猛練習に励んでいる。現役ラガーマンとはいえ、78歳、激しい練習が体力を奪っていく。それでも、「仲間といつまでも喜びを分かち合いながら走り続けたい。」とカラダの限界に挑戦する。捨てきれないラグビーへの想い･･･。情熱をぶつけられるものと出会えた人生に感謝しながらボールを追いかける、70代の現役ラガーマンたちの姿を追う。