2004/1/16日経新聞
交遊抄
エナジャイズ/武藤重遠(カッシーナ・イクスシー社長)
　名経営者として名高いＧＥの元会長ジャック・ウェリチ氏はその著書の中で「優れたリーダーに求められる資質」の一つとして「エナジャイズィング」という言葉を掲げられている。
　エナジャイズィングとは、自分の周囲の人々にエネルギーを与えるという意味だ。自身がエネルギーに満ちあふれている、いわゆるエネルギッシュな人は多いが、エナジャイズィングできる人は少ない。その言葉に目をひかれつつ、すぐ思い出したのは北山創造研究所代表の北山孝雄さんだ。
　環境・生活プロデュサーの第一人者として活躍する北山さんと親しくしていただいて既に二十五年。同じ価値観と美意識を共有できる貴重な友であり先輩である。
　その人柄はフランク・オープン・オネスト。豪放磊落(ごうほうらいらく)にして緻密。時代を洞察する目には感嘆する。バブル崩壊をその一年以上も前から予測していたのも同氏だった。超多忙な身ながら定期的に会食の時間を取って下さる。たわいのない雑談の中に光るキーワードに反応しながら、なぜかこちらも元気が出てしまう。周りに集まる個性豊かな友人たちも数多い。
　きっと彼らも北山さんのエナジャイズィンな力に惹かれているのだと思う。