アマゾン　　　Amazon
　ギリシア語ではアマゾーンといぅ。ア(a-)が否定辞でマゾーン(原形はマゾス)が「乳」で、「乳なし」という意味である。ギリシア北方の未知の地にいると信じられた女だけで成る好戦的な種族である。他国の男と交わり、生まれた男子は殺すか不具にし、女子のみを育てた。武器を使うのにじゃまな右の乳を除いたのでアマゾーンと呼ばれた。軍神アレースとニンフのハルモニアの子孫とされ、弓術にすぐれた騎馬の民であった。
　ホメ一ロスの 「イ一リアス」には直接登場しないが、後の物語ではへクトールの死後、女王ペンテシレイアに率いられてトロイアに応援にきた。彼女は多くの戦士を討ち取ったが、ギリシア第一の英雄アキレウスの槍に右乳を刺されて死んだ。その死に顔の美しさにアキレウスは恋をし、女壬の死を嘆いた。それを卑しいデマゴーグのテルシーテースに潮られ、アキレウスは怒って彼を殺した。アキレウスとぺンテシレイアの物語は、ギリシア美術の題材として壺の絵などによく用いられた。テルシーテースは、イ一リアスに出てくる下層の兵士で、せむしで足萎えで醜い容貌に描かれ、何事につけ王侯貴族に逆らい、騒動を起こす男である。アガメムノンが兵モたちの志気を試すため集会を召集し、わざと戦いをやめて故郷に帰ろうと提案したとき、真っ先に飛びつき全員すぐに帰国出来るよう扇動したのがこの男である。このとき、オデュッセウスが杖でしたたかに打ち据え、黙らせている。結局ギリシア勢は、イ一リオスを滅ぼすまで戦うこととなった。ところで、南アメリカのブラジルの大湿原がアマゾンと呼ばれたのは、征服者たちがそこ住む弓を使う髪の長い裸族を見て、伝説のアマゾンを見たと信じたからである。
　なお、神話ではアマゾンの先祖のニンフのハルモニアのほかに、和解、調和の女神ハルモニアがおり、こちらは音楽などで使用する用語ハーモニーの語源である。
[2011.5.6]
(用語)
アマゾンAmazo:n;マゾスmazos;アレースAre:s;ニンフNymphe，
ハルモニアHamonia;ペンテシレイアPenthesileia;
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