エルドラド 　　Eldorado
　南米のどこかにあったといわれる「黄金郷」をエルドラドと言った。これは、スペイン語がそのまま英語に借用された例である。エルドラドとは 「金で彩られた (国)」という意味であり、16世紀の開拓者たちに伝説的に信じられた。英語ではエルドラードゥと発音するようだ。もと[el Dorado]と綴っていたものが冠詞と一体となり、[Eldorado]という固有名詞となったと考えられる。本来ドラドは 「金メッキした、金色の」といぅ意味の形容詞であった。
　スペイン人たちが中南米を征服したときには、確かに大量の黄金製の祭具や国王の装飾品があった。しかしそれらをすべて略奪してヨ一ロッパに持ち帰ったあとには、エルドラドは消滅し、伝説だけが残った。
　日本でアメリカ車が富と地位の象徴であったころ、キャディラックは中でも最高級車であった。このシリーズにエルドラドというクラスがあったと記憶している。またポーの詩にエルドラドという作品がある。老いた騎士、つまり作者自身がエルドラドすなわち理想郷を求めて旅をするという設定である。大学のとき図書館で借りたポ一の全集に入っており、割と好きな詩だったのでコピーを持っていた。
　開高健の 「オ一パ」は南米の釣り旅行の話であるが、その鏡舌ともいえる話し方がとても面白い。その申で、パラグァイ川上流でドラドという黄金色の魚を釣る話がある。この魚はヒットすると釣り師と、ものすごい格闘をするそうである。しかし南米の川は巨大なので、雨期と乾期で魚の住む場所は全く異なる。開高氏は、どぅしても釣りたいと仲間とあらゆる手段を使ってドラドの潜む川を探し出し、この魚と闘い、・獲得するまでのドラマを展開している。
南米の黄金色の川魚につけられるまでは、ドラドはもともとシイラのことであった。頭が丸く張り出し、腹部が黄色い大型の魚である。また、どこでどうなったかは今のところ明らかでないが、天文学では 「ドラド」は天の星座にあるが、日本名は 「かじき座」となっている。
[2011.5.29]

ELDORADO　Edgar Allan Poe　「黄金郷」　エドガー・アラン・ポ一
Gaily bedight, 着飾って馬に乗った
A gallant knight, 勇敢な騎士が
In sunshine and in shadow, 晴れの日も曇りの日も
Had journeyed long, 長い旅を続けた
Singing a song, 歌を歌いながら
In search of Eldorado. エルドラドを探して。

But he grew old- けれど彼は老いた。
This knight so bold- 大胆な騎士ではあるが。
And o'er his heart a shaow そして彼の心に影が
Fell, as he found 降りる。それは、どこにも
No spot of ground その地、エルドラドと
Thatlooked like Eldorado. 映るところが見られないから。

And, as his strength そして、彼の力が
Failed him atlegth ついに尽きようとしたとき
He met a pilgrim shadow- 「影」という巡礼に出会った。
"shadow", said he, 「影よ」彼は言った。
"Where can it be- 「どこにあるのか
This land of Eldorado?" かのエルドラドの地は?」

"Overthe Mountains 「それは、月の
Of　the Moon, 山々を越えて
Down the Valley ofthe Shadow, (死の)影の谷にある
Ride, boldly ride," さ、大胆に時にまたがり行きなされ」
The shade replied,- 「影」は答えた。
"Ifyou seek for Eldorado!" 「あんたが本当にエルドラドを求めているなら」

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